背景
総務省がe-Statというサイト市場データを公開しており、 分析技術向上と市場感を養うことを目的に定期的に可視化と簡単な考察を行なっていこうと思います。 2回目となる今回は 「工業統計調査」 について見ていこうと思います。
可視化と考察
「サービス産業動向調査」に含まれるデータ
「ディメンション」
- 従業者規模(合計_年次あり)
- 産業中分類(コード付加)
- 調査年(2017 or 2018)
「メジャー」
「確報(産業編)・集計項目(H25から)」という項目に以下の内容が含まれていたので、
その中でいくつか選別して可視化を行いました。
- 事業所数
- 従業者数(人)
- 現金給与総額(百万円)
- 原材料使用額等(百万円)
- 製造品出荷額等(百万円)
- 生産額(従業者30人以上) (百万円)
- 付加価値額(従業者29人以下は粗付加価値額)(百万円)
全体概要
まず全体感として事業者数・従業員人数は以下のようになっており、
小規模の事業所が減少傾向にありつつも大規模の事業所がより多くの従業員を雇用し、
全体としては事業所数が減少しているが従業員数は増加している状況でした。
金額関連としては全体的に付加価値・生産額・出荷額と給与総額が増加していたが、
一個前のグラフにあるように従業員数も増えているのでこれだけでは細かい要因は判断できない状況でした。
そのためさらに細かい粒度で各指標の変化を追っていこうと思います。

### 年別金額関連  ※従業員人数規模(範囲内中央値):10~19人と言った範囲で区切られているため、範囲内の中央値の値を参考値として使用しています。 なお1000人以上の区切りにおいては中央値がないため、一部グラフでは1000人以上のデータはグラフから除外しています。
事実
- 従業員規模と事業数は反比例しており、100人規模か1000人以上の企業で働いている方が多かった
- 1事業あたりの金額関連は事業人数規模に比例していた
- 2017年と2018年だと付加価値額は事業規模に関わらず増加していた
考察
全体的に規模が増えれば各種金額も比例して伸びるという結果でした。 事業単位で規模が大きくなることによって効率が落ちたり、 システム化が進んで効率が上がると言った仮説があったのですが、 全体的にみてそう言った傾向が顕著に見られるわけではありませんでした。 次は年次別ではなく産業の分類別に見てみようと思います。
産業分類別金額関連

※縦軸・横軸ともに対数表示にしています
事実
- 産業別も年次別と同じく1事業あたりの金額関連は事業人数規模に比例していた
- 100人以上にける「【17】石油製品・石炭製品製造業」の原材料・製造品出荷額が目立って大きかった
- 給与については上に「石油・石炭・化学工業」、下に「繊維・革・ゴム」が多いように感じた
考察
業界別に見た場合も年別で見た場合と似た傾向が全体として見られましたが、
「【17】石油製品・石炭製品製造業」は原材料・製造品出荷額で少し目立っていました。
調べてみると石油業界は製造業全体と比べて利益率が低いビジネスモデルとなっており、
原油代金が全体コストの9割を占める薄利多売のビジネスモデルらしく、
原材料・出荷額が高い数値を出しているようであった。
(参考:リスクモンスター株式会社のレポート)
給与については大雑把な傾向は見られたが個人的には結局一人一人がいくらもらえるかが気になったため、
次は1事業あたりではなく1従業員あたりで数値を見てみようと思います。
産業分類別金額関連_1従業員あたりの数値

※注意:上記の「従業員人数規模(範囲内中央値)」から大雑把に算出しており、実態とずれている可能性があるのでご了承ください。
事実
- 規模が大きいほど一人当たりの原材料使用額・製造品出荷額・付加価値額・給与額が大きくなる傾向があった
- 事業あたりと同じく100人以上にける「【17】石油製品・石炭製品製造業」の原材料・製造品出荷額が目立って大きかった
- 付加価値額において「【09】食料品製造業」「【20】なめし革・同製品・毛皮製造業」は途中から規模の増加に応じて下がっていた
- 給与額において「【09】食料品製造業」「【20】なめし革・同製品・毛皮製造業」は途中から規模の増加に応じて下がっていた
考察
一人当たりに戻した場合も全体的に右肩上がりの傾向は変わらず、 工業においては大企業の方が有利であるということが言えそうでした。 「【09】食料品製造業」や「【20】なめし革・同製品・毛皮製造業」について 途中から規模が大きくなるほど一人当たりの給与が減っていることについて明確な原因はわかりませんでしたが、 共に付加価値も下がっていることから規模が大きくなりすぎると効率が下がる何かしらの要因がありそうでした。
感想
普段工業関連の市場状況を知ることがないのでとても面白い内容でした。 特に「規模の経済」を実際の数値でかしかして確認できたことはとてもよかったです。 調べてみると知らないことだらけだったので、 今後他のデータをみる中でさらに知見を広げていければと思います。
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